Ⅳ 探究の入口

1.  高大生の読書

《 これからの高校生や大学生に伝えておきたいこと 》

 

高校生、大学生の時期は、

●「目次のついた、新書のような本」(情報読書)を多読する時期です。

 

●物語や小説を「はじめから終わりまでたどり読む技術」ではなく、
自分の課題探究に関係する「語・語句・短文」を
「すくい読む技術(あらまし読み)」を身につけ、
1つのテーマで複数読書することから始めていきましょう。

《 これからの高校生や大学生に伝えておきたいこと 》

 

高校生、大学生の時期は、

●「目次のついた、新書のような本」(情報読書)を多読する時期です。

 

●物語や小説を「はじめから終わりまでたどり読む技術」ではなく、
自分の課題探究に関係する「語・語句・短文」を
「すくい読む技術(あらまし読み)」を身につけ、
1つのテーマで複数読書することから始めていきましょう。

大学選抜性による不読率の割合

(CRUMP 東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策センターから、2019年度報告のみ抜粋 )

 

選抜性の高い大学 不読率     45%

選抜性が中程度の大学 不読率   48%

選抜性が低い大学 不読率     53% 

 

ここから、あらゆる大学で、二人に一人程度は、1カ月に1冊も本を読まない不読者であることが明らかになりました。

「あらまし読み」を知って、「読むことのハ

ードル」を下ろしましょう。                      

このⅣ章は、「あらまし読み」の意味や「インプットとアウトプット」の関係を考えた「あらましメソッド」全体のことを詳しく書きます。詳細な説明は要らない人は、飛ばしていただいてください。どうやって、「あらましメソッド」を作ってきたか、という背景や理由を書きます。

 

はじめに、このHPの書き手(arama会の一人)が「あらましメソッド」を始めたころの思いから、書きます。

 

私は、30年近く、大学や短大の「日本語表現」や「レポート作成法」の授業をしてきました。学生さんたちと授業をしながらいつも思っていたことがあります。

それは、授業を受ける前に、3冊、授業に関連する本を読んでいてくれたらどんなに授業が深まるだろうかということでした。共有する3冊に取り上げられている「共通言語」を使い、授業を進めることができ、学生さんたちもそれぞれの立場で具体的に「共通言語」に関して意見し合い、充実するだろうなぁということです。いつも、共通言語の説明をして終わってしまう歯がゆさを感じてきました。

これは、大学生だけでなく、高校生でも中学生でも同じです。

 

さて、ここ20年ばかり、日本の大学でも、アメリカに倣って「大学の初年次教育」の実践が充実してきました。そして、「初年次教育」が進むにつれ、「授業前の複数読書教育」の可能性を感じるようになりました。と同時に、授業内で読書技術を伝える時間を提供することが必要にもなってきました。しかし、やり方を紹介してみると、意外に学生さんたちはそれぞれ、自主的に計画的に読めるようになることもわかってきたのです。   

大学の授業は、「あらまし読み」のような「基礎読書」を入口として、その次に「授業」があることが理想です。

受講生は、授業での大きな課題のなかで自分の見つけた小さな「課題」を、「あらまし読み」を通して探究しておきます。その時に、担当の先生から、読みやすい推薦書をリストアップしてもらえることが理想です。いよいよ「授業」では、「あらまし読み」を済ませた学生が「対話」し合い、先生からの「コメント」も参考に、話し聴き交流し合います。最後に、自分の考えを深め、「最終レポート」でまとめていくということを科目やテーマごとに進めていきます。

 

ここ数年、日本の文部科学省のもとに、「高校」や「大学」の学びを刷新しようと改革が始まってきています。「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、高大接続を考えているのです。高校では、「探究の時間」が、大学では「初年次教育」の時間が、そのパイプ役になります。その時間に「生徒や学生は何を学ぶのか」というと、まさに「基礎読書」(あらまし読み)を身につけ、読書を自分のものにすることです。

本をなんとなく「通読」するのではなく、問題意識を持って、複数冊の本をさっと眺め、問題について俯瞰的な視点をもつことが重要になります。昨今の高大生の「不読率」が高いという問題を乗り越えるためにも、「読みの技術」(あらまし読み)を知ることを提案したいです。

ご存じでしょうが、二人に一人は、1カ月に1冊も本を読まないという状況が続いています。

 

2013年度から2021年度現在、1000名を越える大学生さん達と私は、「あらまし読み」の授業を実践してきました。そこで、多忙な学生さんたちからの納得の声を受け、オリジナルな「あらまし読み」という「基礎読書」の方法を提案したいと考え、HPを立ち上げました。

「あらまし読み」とは、

授業時間内に1冊、

オリジナルな「あらまし読み読みシート」を使って、

「表紙読み」「目次読み」「序章読み」「興味読み」の段階に分けて、

クラスメンバーなどと協働して、

「読む」「書く・描く」「話す・聴く」活動を活性化させて読んでいく方法です。

「話す・聴く」活動は、若者の得意なONLINEでもOKですよ!

 

複数冊の「あらまし読み」を通して、

本1冊だけを独りよがりに読むことなく、

複数の視座を持てるような、

俯瞰的な視点の発見が重要です。

 

最後には、

必ずアウトプットとしての「レポート作成」や「プレゼンテーション」などに

向かっていきます。

つぎは、

Ⅳ 探究の入口 2. 「情報読書」というジャンルへ

暗黙知になっていた「読書ジャンル」と「生涯読書」のことついて触れていきます。

 

 

説明はもう結構という人は、

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