Ⅲ 「レポート作成」へ
●上の読書テーマのマップは、岩波新書「芋づる式読書MAP」から連想して作成した「6テーマと18芽」の構成図です。2冊以上、共通テーマの新書を読み比べ考えてみましょう。
新書を読み慣れていない人は、[ジ]岩波ジュニア新書 [ち]ちくまプリマー新書 から「知の世界」を広げようと呼びかけて、2020年度大学の授業で、取り上げました。
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「あらまし読み」2冊を取り上げ、レポートを書くためのヒント集
上記リスト54冊からのキーワードのいくつかを下記に示します。これらのキーワードを「視座」にして、複数冊の新書を選んで、「比べてみる思考」をしてみましょう。
▶中心円:54冊の新書(「岩波ジュニア新書」「ちくまプリマー新書」からの選書)に共通して、浮き出されたコトバ
▶外枠四角:各新書の立場から出てくる独自のコトバ(まだいろいろあります。自分で探してみよう)
◆各大学・学部では、こうした基礎的な教養の見方を基盤に、専門的な研究を行っていきます。
◆あなたの関心の高い分野の新書に掲載されている「参考文献」を読んでいくことも深い研究につながります。専門書や専門雑誌を読むことに進み、高等教育での専門教育が深まります。
◆専門外の新書でも、あなたの生き方に響く見方が潜んでいます。
はじまりのテーマへの思い
いまの自分の「日常生活」を立ち止まって考えてみたい
3冊のあらまし読みA
①正しいパンツのたたみ方―新しい家庭科勉強法― 南野忠晴 2章
キーワード:
家族の定義は? 「核家族」と「拡大家族」 ステレオタイプの見方 家族構造の変化 安定感のうえのパワー
④大学で大人気の先生が語る<恋愛>と<結婚>の人間学 佐藤剛史 6章
キーワード:
恋愛・結婚も自分次第 思い描く人生を実現する力 段取り力 リスクマネジメント 行動力 人間関係形成力 目前の人を喜ばせる コミュニケーション力 聞く力
⑨不便益のススメ―新しいデザインを求めて― 川上浩司 2章
キーワード:
便だから益がある「不便益」 主体性 工夫 発見 気づき アフォーダンス 対象理解 安心信頼 上達できる 私だけ感 能力低下防止
〇の番号は「3冊あらまし読み」という方法で広げるサンプル新書54冊リストからのリスト番号
3冊以上あらまし読みしてから、2冊「選択」することが、あなたの思考を深める!
▼④⑨の2冊を選択
④大学で大人気の先生が語る<恋愛>と<結婚>の人間学 佐藤剛史
キーワード:
自分次第 目の前の人を喜ばせる 行動力 段取り力
⑨不便益のススメ―新しいデザインを求めて― 川上浩司
キーワード:
私だけ感 対象理解 安心信頼 上達できる 主体性 工夫
共通点
「恋愛・結婚」も「不便益の状態」も、自分次第で、変化し得る要素を持っている
それぞれの独自性
④ 人と人の密接な関係 恋愛や結婚という感情を伴った人と人との最小限単位に関する内容
⑨ 「不便」というモノの状態とヒトとの関係の問題を、工学者がさぐっている
思ったこと
それぞれに、「恋愛・結婚」と「モノとヒト」という単位は異なるが、共通性があって面白い。
わかったこと注2
これからの未来に向かって、自分の見方や感じ方一つで、世界が変わる可能性があることがわかった。
気づいたこと注3
思い描く人生を創るためには、「自分」を柔軟に変えていきたい。そのためには、「人と出会うこと」「不便さを厭わないこと」を捉え直していくことから、始めたい。具体的に、つぎの2点に絞って変えていきたい。……
注2)注3) レポートの結論章に、自分で考えた言葉で「わかったこと」や「気づいたこと」を中心に、具体的に表現してみよう。
はじまりのテーマへの思い
科学技術の発達のなかで、これからどういうものの見方を持って生きていけばよいのかなぁ
3冊のあらまし読みD
㉙おはようからおやすみまでの科学 佐倉統(おさむ)・古田ゆかり 4章
キーワード:
常識・新説・研究結果は変化する 科学への過信 科学者の専門知を最終的に自分で判断 分野を横断する共通のコトバ
㉝生きものとは何か―世界と自分を知るための生物学― 本川達夫 5章
キーワード:
生き物は円柱形 ちょっと緩めにアバウトに捉える方が本質を捉まえられる 「円柱形」算数・理科のコトバ 場面ごとにどのくらいの厳密さで世界をみるのか、判断できること=大人になること
㉞地球温暖化は解決できるのか―パリ協定から未来へ!― 小西雅子 4章
キーワード:
地球温暖化の国連会議の歴史 パリ協定にいたる
その裏にある会議の様 科学との整合性と「対話」の繰り返し
〇の番号は「3冊あらまし読み」という方法で広げるサンプル新書54冊リストからのリスト番号番号を指す。3冊以上あらまし読みしてから、2冊「選択」することが、あなたの思考を深める!
▼㉝㉞の2冊を選択
㉝生きものとは何か―世界と自分を知るための生物学― 本川達夫
キーワード:
国語のコトバちょっと緩めにアバウトに捉える方が本質を捉まえられる 数・理科のコトバ 場面ごとにどのくらいの厳密さで世界をみるのか、判断できること=大人になること
㉞地球温暖化は解決できるのか―パリ協定から未来へ!― 小西雅子
キーワード:
パリ協定への会議の様子 科学との整合性と「対話」の繰り返し
共通点
生物学も地球温暖化会議も、科学を土台に、「対話」というコトバの世界からみていくことで、本質が見え、解決に向かうこと。
それぞれの独自性
㉝毎日の生活と科学技術について、統合的に考えて、世界と自分を見つめるところ「リビングサイエンス」
㉞地球の温暖化は防ぐことのできない事実のうえに、人間ができることを求めて対話する姿を描いている
思ったこと
自分のことがわからないけれど、自分だけをみていただけでは何も見えないなぁ。
わかったこと注2
現在、地球上で温暖化という運命共同体のなかで、毎日があり、世界は動き、自分がいるということを再認識した。
気づいたこと注3
自分のことばかりに囚われているのではなく、視点を世界に広げ、出来得る限り文系・理系の両面から整理していくことが重要だと気づいた。そのことで、自分らしさや生き方の方向性も把握できていくところが広がりそうだ。
注2)注3) レポートの結論章に、自分で考えた言葉で「わかったこと」や「気づいたこと」を中心に、具体的に表現してみよう。