Ⅰ 「あらまし読み」実践
● 「先生から出された課題」を「自分の課題」へと具体化
●本を3冊以上選択し、そのうちの易しそうな1冊を準備
●本の外側(表紙や目次など)から、その本の「新しさ」「未知事項」を拾い出す
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いかにもその本を読んだかのように、
その本に書いてありそうなことを他のメンバーに話してください
(理解を深めるために、意外と役に立つ方法です)
①読書をある目的のために行う習慣をつけます。そこで、その本を何のために読むのか、
必ず言語化しましょう。
一番手っ取り早いのは、急ぎ提出しなければならないレポートの場合です。
「レポートを作成し、●●●●についての課題を提出しなければならないため」
ヒトは目標がある方が、集中できるものです。
②周囲のメンバーが読む本を手に取ってみるということは、つぎの本の選択にも役立ちます。
これも一つの「味見読書」です。
③読書後に、レポートなどでアウトプットする(表現する)ことが前提となっています。
そこで、その選んだ本をあとで読み直す可能性は高く、必ずその本に行きつけるように、書誌をメモしておき、必要度に応じて購入も考えておきます。
レポートを書く時には、末尾に〈 参考文献 〉として、レポートを書くことに使用した本を一覧して記入します。その準備としても重要です。
④選書の理由は、①目的とともに、文章化して意識化しましょう。読みやすい本であること、図表が多いことも大切な理由です。
⑤本を俯瞰的に読むためのはじめの行動は、「表紙」の題名、副題、著者名、出版社の宣伝、帯などと、本が主張している表の顔をよく見ておくことです。
⑥著者の頭のなかの骨組みが、「目次」に視覚化されています。目次を読めば、本のあらましが把握できます。もっと、本の目次を読みましょう。
⑦「目次」と「皆さんの課題」とをつないでいきましょう。
⑧このあたりまで読むと、自分の課題に関連した本の内容が少しずつ予測できてきます。本文を実際に読み出す前に「予測文」を見える化してしまいましょう。
そのあと、自分であらまし読みを進め、精読する場面で、先の「予測文」との違いを比較してみることも重要です。具体的には書けなくても、予測がほぼ当たっていたら、あらまし読みの力であると考えてください。こうして、従来「暗黙知」としていた読みのプロセスでの気づきも、明確にしていきましょう。
本は、全部通読するよりも、「目次」を中心として、関連個所を選んで、読み進めることで、理解が深まり、自分の課題への思考ができるものです。
⑨高校生や大学生の「情報読書」の本を読むということは、新しい専門用語や現代用語に出会うことです。こうした未知の「ことば」を理解し、使用言語として他者に話して使う、レポートに書いて使用することは、読書の大きな役割です。
こうして、学習し獲得した「共通言語」をもって、教室やONLINEで他者と交流することこそ、これからの学びに大きな力を持ちます。
コロナ禍にあっては、教育について「ソーシャル・ディスタンス」、「オンデマンド型授業」「双方型授業」などの用語が飛び交っています。高校生や大学生である皆さんは、どのように学んでいきたいのか、本のなかの用語を駆使しながら、クラスのメンバーや多様な人たちと交流していくことが重要です。
⑩同じテーマでも、著者の立場によって見えてくる側面がちがいます。著者の立場を意識して、読む姿勢を忘れないでください。著者は、医者なのか、心理学研究者なのか、NPO法人の人なのでしょうか。
⑪最新の用語については、電子辞書では追いつきません。
新聞社や出版社によって日々刻々と塗り替えられているweb上の“kotobank”(コトバンク)などの使用を勧めます。コトバンクの中に収められている個々の辞書の選択を間違えないようにしてください。kotobank の中には、多様な辞書の内容がまとめて掲載されています。
●「情報読書」から学べる最大のことは、新しい「ことば」とその見方です
●それら目立ったことは、表紙や目次からだけでも吸収できます
●“kotobank”のweb辞書を絶えず活用して、「理解言語」だけでなく、
「使用言語」を増やしましょう